家族ががんになっても希望は消えない。

母が肺がんステージ4になってからの記録です。希望は常にあると信じて日々を過ごしています。

貧血。からの輸血?

少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。もち丸です。

今年は一日一日を大切に丁寧に、自分なりの希望を持って日々生活していきたいと思っております。

皆様の心身の健康と平穏を心からお祈り致します。

 

さて今回の内容は時期としては去年(2021年)の12月の話になりますが、「輸血」の話になります。

これは抗がん剤治療による副作用によって、貧血が悪化してしまったことが原因です。

それではどうぞご覧ください。

 

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1、何故貧血?

元々母はがんになる前から、貧血の傾向がありました。

とは言えたまにクラッとくることはあるものの、治療が必要なレベルではありませんでした。

ところが抗がん剤副作用により、全身の血液を作る「骨髄」がダメージを受けてしまいました。

その結果赤血球が少なくなってしまい、貧血が悪化してしまったというのです。

 

 

2、急激な貧血悪化

ただ抗がん剤治療と言っても、母はこれまでも抗がん剤治療を受けていました。そして通院時には毎回血液検査等を受け、体調をしっかりとチェックしていました。

そして確かに赤血球の数値は低かったものの、まだ問題はないと言われていました。

 

母は日常的に息苦しさが続いていたものの、息苦しさは肺炎の後遺症や肺がんから来ているのだろうと私達は思っていました。

ところが輸血をする1週間程前、買い物中にふらつき、あわや倒れそうという場面が発生してしまいました。

いくら後遺症や症状のせいとは言え、さすがにここまで来ると事故等の危険性もある為、今度の診察で先生に相談しようと思いました。

 

 

3、抗がん剤地用のはずが...

そして4週間に一度の診察&抗がん剤点滴の日。

前回は鼻血等の出血があったことから、本来ドセタキセル「サイラムザの二つ点滴予定が、ドセタキセルのみの点滴でした。今回もまだ出血が少し残っていたことから「今回もサイラムザは打てないのかな」と思い、診察に臨みました。

ところが主治医からは予想外の言葉が。

 

「貧血がかなり悪化しているので、このままだと治療は出来ない」

「治療を続ける為には輸血をするしかない」

とのこと。

 

どうやらドセタキセルによって骨髄抑制が大きく出てしまい、赤血球数値がかなり危険なレベルまで下がってしまったというのです。

そして現在母が息苦しく感じている原因に、この貧血が大きく影響しているのではないかと言われました。

先生だけでなく看護師、薬剤師からも「ここまで数値が悪化したら目まいやふらつき、息苦しさが出て当然ですよ」とのこと。

 

加えて最近母は息苦しさに加えて、立ち眩み手足の冷え等も感じているようでした。

貧血、つまりは赤血球が少ない状態ですが、その状態では体の隅々に酸素を送ることが出来ない為、上記症状が出てしまうようです。

先生に「鉄分を多く含む食品を摂ると改善するのか」と聞きましたが、「改善しないとは言わないが、いくら材料(鉄)がたくさんあっても、赤血球を作る工場(骨髄)の生産能力が落ちていると、製品を十分に作れない」とのこと。

 

私の母はドセタキセル治療に際、ジーラスタという注射を使っています。これは骨髄抑制による白血球数低下に備える為ですが、ジーラスタは赤血球数低下には対応していないようです。どうせなら赤血球も一緒に作ってくれればいいのにと思います。

 

 

4、さすがの母も即決出来ず

これまで治療薬の変更や治験参加を決める時は比較的即決してきた母ですが、輸血の提案にはさすがに動揺していました。

母によると「薬は仕方ないにしても、輸血には抵抗がある」とのこと。

 

私としては治療継続の為、そして息苦しさ改善の為にも輸血をして欲しいです。ですがこれは理屈ではなく感情の問題です。そしてそれを周りの家族が理論で抑え込んではいけないと思いました。

ただ「抗がん剤治療において輸血は決してめずらしいことではないこと」、「輸血によって息苦しさは確実に楽になる」という説明を受け、母は渋々納得したという感じでした。

 

輸血に使う血液は献血によって賄われているもの、いわば人の善意が形になったものです。母にはそのことと、少しでも息苦しいのが楽になるといいねと伝えるのが精一杯でした。

 

 

5、輸血開始

さて実際の輸血に関してですが、母の場合は400ccの血液を2パック、つまり800ccの輸血を行いました。1パックあたり2時間程、合計で4時間強かけて輸血を行いました。

母は先生に「800ccって随分多くないですか?」と言いましたが、先生からは「逆に言うとそれほど今体に血液が足りていないんですよ」とのことでした。

 

そして輸血を行うに当たり通常の血液検査に加え、輸血直前に「母の血液」と「輸血する血液」が拒絶反応しないかという検査を行いました。

今の輸血は様々な検査を事前に行っており、0リスクとは言えないものの、かなり安全に輸血することが出来るそうです。それでも万が一のリスクを考えて、こうして事前に検査するそうです。もちろん事前検査と実際に母に輸血した時の状況が同じとは言えませんけどね。

そしていざ輸血が始まりました。

 

とは言え母が輸血している時間に、私に出来ることはほとんどありません。時折母の様子を見に行く以外は、本を読んだり、ゲームをしたり、ウトウトしたり…

そしてなんだかんだ言って輸血は一日がかりでしたね。でもこれで母が少しでも楽になってくれればいいなと願い、母の輸血が終わるのを待ちました。

 

 

6、輸血の効果の程は?

そして輸血が終わり、こちらに向かってくる母。その様子を見ると、朝と比べて足取りが明らかに軽いのです。相変わらず息苦しさは残るようですが、「足が前に出る」と話していました。

加えて顔の血色も赤みがかっています。更に輸血中はパルスオキシメーターで血中酸素濃度を度々測るのですが、その数値はいずれも98を超え、それは母ががん治療を始めてから初めてのことでした。

 

一般的に貧血に対処する為の輸血は比較的即効性があり、多くの人が帰宅時にはかなり楽になっているとのことです。

ただ母の場合は期待した程は息苦しさが楽にならなかったようで、少しがっかりしていました。

やはり母の息苦しさは貧血だけが原因ではなく、色々な要素が絡んでいるのだと思います。ただ輸血によって貧血部分の息苦しさは改善されると思いますので、もう少し様子を見守ろうと思います。

 

 

7、最後に

正直輸血によって、もっと劇的に母の体調が良くなるのかなと期待していたこともあり、「思った程の効果はなかったな」というのが本音です。

ただがん治療に関して、ここまで副作用に対する改善策が用意されているのだなと思うと、改めて医学って凄いなと思います。「輸血」というシステムがなければ、母はその時点で治療がストップしていたでしょうから。

 

私は随分前に一度400ccの献血をしたことがありますが、献血が終わった後は少しふらつきがありました。「400でこれだけふらつくなら、母はふらついて当然だな」と思い、輸血出来て良かったのかなと感じました。

そしてこれまであまり気にすることのなかった、献血を呼び掛けている方や実際に献血を行ってくれる方に対して、感謝の気持ちを持つようになりました。

 

改めて人は人に生かされている(活かされている)と強く感じ、人の善意に感謝致します。