家族ががんになっても希望は消えない。

母が肺がんステージ4になってからの記録です。希望は常にあると信じて日々を過ごしています。

緩和ケア後初の全身CT検査

皆さんこんにちは、もち丸です。

ようやく暑さが落ち着いてきて、秋の気配が出てきました。ただ私は1年の中で夏の終わりから冬にかけての時期が一番苦手です。

私は暑いのにはそこそこ強いのですが、寒さにはとても弱いのです。肩こりも酷くなりますし、お腹も壊しやすくなります。それに色々と焦りが大きくなる時期でもありますので、もうちょっと夏気分でいたいですね。

 

さて今回は緩和ケアに入ってから、初めての全身CT検査の結果を聞く日です。非常に怖かったのですが、検査結果は意外なものでした。

 

 

 

1、全身CT検査は不安しかない

先日母の全身CT検査を聞きに病院に行ってきました。とは言えもう治療目的ではなく、疼痛緩和の為の検査です。やっぱり治療が出来ないという事実は本当に辛いですよ。「ここにいる人のほとんどはまだ治療が出来る人なんだ」と思うと、自分達と他の人達が同じ空間にいるのに、違う世界にいるような寂しさ、虚無感を感じます。

 

更に今回の診察はいつもより不安を強く感じました。

それは最近母の体調が思わしくなかったからです、具体的には息苦しさ、ふらつき、腰の痛みが増したようで、母も私達家族も間違いなく急激に悪化したんだと思いました。

先日は買い物の途中で立ち眩みがして私につかまったり、少し歩いただけで息苦しくなったようで、頓服のモルヒネを飲んでいました。それを近くで見ていると残酷な現実を突きつけられているような気がして、本当に辛かったです。最近は食事量も減ってきて、一日中うとうとしている母。その姿を見ていると、「もしかしたら今年を越せないかも」という不安が押し寄せてきます。

 

そんな状態でしたから私達は診察で、「一気に悪くなってますね。画像でもかなり大きくなってます」という言葉を聞くと思っていました。

 

 

2、意外な検査結果

母は現時点で原発巣の肺、転移は複数のリンパ節、腰椎、すい臓と複数あります。(脳腫瘍の再発はありません)

「どこが悪くなっているんだろう」と、先生の言葉を聞くのが怖くてたまりませんでしたが、結果は意外にもほとんど進行していなかったのです。リンパ節部分はやや腫れているいるものの、体全体のがん総量はほとんど変わっていないというのです。

 

私達はその言葉を聞いて、久しぶりにほっとした感情になりました。誰もが最悪の言葉を聞くと思っていたからです。

治療がストップした以上、状態は少しずつ悪くなっていくのが普通です。もちろん奇跡を信じたいですが、最近は簡単に奇跡を信じるとは言いにくくなってきているのが本音です。

母の治療がストップしたのは今年の始めですから、ほとんど進行していないなんてとても思えなかったのです。

本当に嬉しかった。母が病気になってからずっと張りつめていましたし、今日はどんな酷い告知を受けるのかとビクビクしていた私にとっては、久しぶりに嬉しい気持ちになりました。

「生命力が凄い!さすが俺の母さんだ!」

 

 

3、なら何故苦しいのか

とは言え実際に息苦しさや痛みが強くなっているのは間違いないのです。

先生曰くいくつかの要因が重なっているようで、「貧血」「肺のダメージ」「脱水」が影響しているようです。

 

①貧血

まずふらつきについて一番大きい原因は「貧血」です。これはおそらく肺がんから来ているのだろうとのこと。肺がんによる貧血は体に鉄分が足りずに起こる貧血とは違い、鉄分が十分にあってもうまく赤血球が作れないようです。その為鉄剤を摂れば解決というわけではなく、なかなか改善が難しいようです。

次回鉄分をより詳しく調べる為の検査を入れてもらいました。

 

②肺のダメージ

「肺のダメージ」に関しては、治療中になった間質性肺炎の影響があるようです。間質性肺炎は回復が難しく、肺にダメージが残ってしまったのです。それと肺がんが合わさって肺機能が落ち、息苦しさに繋がっているのだろうとのことでした。

母は肺炎になったことで治験も他の治療選択肢も諦めざるを得なかった為、つくづく肺炎が憎いです。

 

③脱水

また「脱水」もあったのではないかとの指摘もありました。毎食後薬を飲んでいるので水分不足はないと思っていたのですが、調子が悪かった日はとても蒸し暑かったうえ、食べる量が減ったことで食べ物から摂る水分量が減ってしまったのではないかとのことでした。

今はランマーク注射によって骨転移に対処していますが、脱水や貧血は転倒のリスクが上がる為大変危険です。その為水分補給については気を付けてくださいと強めに言われました。

 

 

4、痛みについて

また痛みに関しても、がんの悪化によるものではなさそうとのことでした。

私はすい臓部分の悪化や骨転移が原因だと思っていたので意外でした。先生が全身を丁寧に触診してくれたのですが、押しても痛みが悪化するわけでもなく、むしろ気持ちいいようでした。

恐らく筋肉から来ている可能性が高いとのことでした。骨転移があることで、その分筋肉がかばおうとして頑張ってしまうそうです。また足先の痛みによって体をかばった歩き方になってしまうこと、更には運動不足による筋力低下が、痛みを増長させているそうです。

 

 

5、それでも安心は出来ない

やっぱり毎日痛みが続くのはとてつもないストレスですよね。私なんてちょっと体に違和感があるだけでストレスを感じてしまうのに。

毎日痛みがある状態が続けば精神的にもまいってきて当然だと思います。だからこそ痛みを軽減するということは、とても大切なことなのでしょうね。

これまでは腰の痛みに関してはカロナールを、息苦しさが酷いときはオプソというモルヒネを用いていました。ただ今回から一日一回の錠剤タイプのモルヒネを試してみることになりました。

やっぱりモルヒネという薬のインパクトは強いですが、母が少しでも楽に過ごせるようになって欲しいと思います。

 

ただ今回の結果はもちろん嬉しいのですが、病気が治ったわけではありません。これから先のことを考えると、心から安心することはとても出来ません。

それでも今はこの少しでも嬉しいニュースを噛みしめたいと思います。これまでずっと落ち着く暇なく張りつめていたわけですから、これくらいは許されるんじゃないかな。

 

 

6、最後に

今回思いがけない結果になり、私達家族はもちろん、母もかなり嬉しかったようです。その日は口数も多く食欲もあるようでした。まぁその後食べ過ぎて少し気持ち悪くなっていたようですが…(笑)

母は以前先生から「急激に悪化する人も多い」という話を聞いていた為、「とうとう自分にも来たか」と思ったそうです。

私達家族は母のことを心から大切に思っています。苦痛はなるべく少なく、そして長生きして欲しいと願っています。それでも私達は母の痛みを実感を伴って理解することは出来ませんし、痛みを軽減することも出来ません。結局は家族だって無力だと思うことがしょっちゅうです。

 

病気看護や老介護に関わっている人は、皆このような心境になるのでしょうか。本当に綺麗ごとではいきませんね。

とは言え今回久しぶりに柔らかい気持ちで記事を書けたことに感謝します。